『モブサイコ100』、『ケンガンアシュラ』、『圧勝』など人気作を擁するWEB漫画界の雄『裏サンデー』。その中にあって一際“異彩”を放つ作品がある。
堕天作戦。
派手さはないのでイマイチ目立ってはいないが、そのダウナーな雰囲気、終末的な世界観には一度触れると引きづり込まれる魅力がある。新鮮な気持ちで読んでもらいたいので極力ネタバレを避けつつその面白の一端を伝えたいと思う。
▼人類 ヲ 駆逐 セヨ
見出しは公式の煽り文だが、舞台は文明が衰退し魔人が跋扈する荒廃した未来。もう半ば人類駆逐されてませんか?という世界の物語だ。
主人公は『不死者』の『アンダー』さん。
不死者とは文字通り“死ぬことがない”人間のことで、首だけにされてもバラバラになっても消し炭にされても再生して五体満足に蘇る。傷を治したり炎を出す『魔術』が当たり前にある世界にあって、なお常軌を逸した存在として描かれている。
その特性から人類軍からは特攻兵器として運用され、魔軍からは実験動物のように扱われていたアンダーがある出来事を経て『生き返る』ところから物語は始まる。
目的は煽り文のとおり人類への復讐、殺戮なのかというと全然そんなことはなくて、気になるモノを見つけたのでその謎を解明したいというもの。ひどい目に遭わされたことは忘れてないけどもう眼中にない様子といい普通の人間とは決定的にズレた感性が素敵に面白い。
恐ろしいほどにマイペースでボケているように見えるが本人は真面目。
ちなみに第1話1ページ目に親切にもグロ注意の警告があるのだが、その問題とされているシーンのほとんどがアンダーである。被害者であるのは確かなのだが、アンダー本人が死ぬことに全く躊躇が無いので結構な割合で自分からグロ画像になりに行っている。個人的には気にならなかったが、耐性の無い方や苦手な方は一応注意されたし。
▼キャラクターで紡がれる世界がたまらない
複雑で秀逸な世界設定は全て掛け合いや独白で伝えられる。
自然に語られるので説明くさくないしテンポよく読めるのがいい。スポットが当たる組織やキャラに合わせて視点も次々移るが、そのどれもがいい味を出してるので退屈はしない。
一言で表すとド畜生なピロ指令。しかしセリフの中に信念めいたものを感じれたりどこか憎めない。こういうのをキャラが立ってると言うのだろうか。
ちょい役の肉屋のおやじからしてこの粋っぷり。どいつもこいつも魅力的で供給過多なぐらいなのだが、どれもしっかり書き分けられているので混乱はしない。それぞれが目的や信念を持って生きているので素直に感情移入できるのが気持ちいい。
▼無料だからとりあえず読んでください
もっと語りたい部分はあるのだが、ネタバレに配慮するのめんどくさいしやはり実際に読んでもらうのが一番なので騙されたと思って読んでほしい。
http://urasunday.com/daten/index.html←『裏サンデー』ここで3話まで読めます。
続きが気になったら『マンガワン』で最新話まで無料で読める。
更新は月1回と遅めなのでハマったら悶々として待つことになるが許してくれ。
こういう地味ながらいいものがある作品が世に広まってほしいしので堕天作戦、どうかみんなすこってくれ。