死ぬほど後味が悪い。見た後溜息しかでない。
そんな不穏な言葉付きで勧められた『ダンサーインザダーク』の感想は言われた通りのものでした。
作品の良し悪しについては意見は割れるでしょうけど見終わった後の沈んだ気持ちはほぼ全員で共有できてそうなのが凄い。僕の場合、一番近い感情はやるせないですかね。どうしてこんなことになってしまったんだ……と呆然として答えはないやつ。
この作品主人公の周りいい人ばかりなんですよ。視覚不良というハンデがあるのに邪険に扱われるどころか配慮して助けてくれるし、不幸なことになった後も最後まで気にかけてくれる友人がいた。にもかかわらずどんどん悪い方向へ沈んでいくから不条理さで死にそうになる。
多数挟まれる『ミュージカル』シーンが全部主人公の空想というのもキツかったですね。脳内劇場でワイワイ楽しく歌って踊ってそのままシームレスに現実を受け入れる。この演出は出演者の熱演もあって見応えがあるのだが、この空想癖設定がきっかけでやらかしたこともあり主人公が周囲の好意の上にあぐら掻いてるように見えてどうにも好感が持てなかった。行動原理は一貫してるので納得はできるからその辺は好みの問題かもしれない。
ラストについては視聴前の脅しに過度に身構えて最悪のさらに最悪を想像していたのでそこまでショックではなかった(主人公の願いも叶わない絶望エンドだと思ってた)幕引きの演出としては文句なしに素晴らしかったですね。物語だけで言えば胸糞なのだろうが作品としての評価が高いのはその辺が効いてるのではなかろうか。
なんにせよ視聴してスッキリすることはないと思うのでこれからという方は怖いもの見たさぐらいがいいでしょう。一応今ならAmazonプライムで無料なので会員の方ならすぐに見れます。万人向けではないけど強烈に記憶に残る作品ではありました。