ニャルラトホテプ
曰く、『這い寄る混沌』『無貌の神』『大いなる使者』etc.etc.
クトゥルフ神話と言えばニャルラトホテプ。このイメージを持っている方はかなり多いのではないだろうか。僕自身がクトゥルフTRPGに触れてみるまでに知っていたのはニャルラトホテプだけだったという例もあるので少なくとも知名度はあるに違いない。
Google先生の評価を見ても他とは一線を描く存在なのは明らかだ。
しかし疑問である。クトゥルフの神格はかなりの数がいるのになにゆえニャルラトホテプだけがこんなにも推されているのだろうか。
たぶんこいつのせいもある
ニャル様・エクス・マキナ
さて、クトゥルフTRPGを始めてまだそんなに日は経ってないが無謀にもシナリオを作りたくなった僕はシナリオに絡ませやすそうな神格はいないかとルルブを読んだりサイトを廻ったりしたのだが、しばらくして気づく。
人間とまともにコミュニケーションとれるのニャルラトホテプしかいなくない?
お出ましと同時に辺り一面火の海にするようなやつは論外としても比較的おとなしいとされている者でさえ人間と意思疎通する気はさらさらない。平気で食ったりおもちゃにしたりするのだ。怖すぎるぞ神話生物ども。
そんな具合なので神格と探索者をまともに絡ませるとなると必然ニャルラトホテプの出番は多くなる。その上公式から『彼は常に人間に狂気をもたらすよう努めている』とお墨付きがでているので理不尽な導入からのクローズドシナリオなら「もうこいつの仕業でええやろ」となるのである。
正直に言おう。ここに辿りつくまでに様々なシナリオに目を通していたのだが、無知なる僕は事件の背景に『ニャル様のお遊び』と書いてあるものがあまりにも多すぎて「やれやれまたですか」とうんざりしていたのだ。しかしこれは致し方ないのではなかろうかと思い直した。
実際のところ、ゲームとして見れば事件の内容(セッション中に起こること)が大事なのであって、背景が詳細に設定されてようとPLからすれば「知らんがな」という話である。黒幕がニャルラトホテプだったところで支障はないし、むしろ「いつものやつ」で通じるあたり『様式美・一つの型』のように尊重されている感がある。
長きに渡って紡がれてきたクトゥルフ神話。それをテーマにしたクトゥルフTRPGはシナリオに適した神格がいなければ自分で作ってもいいとまで言われるほどに自由で拡張性に富んだゲームだ。
でも、まあ・・・
ニャルラトホテプがいればなんとでもなるのだからわざわざ創作する必要もないだろう。
その地位を脅かす対抗馬もあらわれない既得権がっつりニャル様。人格を持った唯一無二の外なる神はシナリオに引っ張りだこのクトゥルフ神話の大スターである。