人狼ジャッジメントのキャラクタービジュアルは秀逸である。
まずはご覧いただきたい。
そのどれもがどこか“陰”があり、疑い騙しあう人狼ゲームのアバターとして絶妙!それでいてキャッチーでもあるのだから恐れ入る。人狼ジャッジメントが流行った理由の一つにこの魅力的なキャラ群があるのは間違いないだろう。
そんな中、リリース当初から一貫して奇異の目で見られ続けている者がいる。
男の名はゲイル。
他の者に比べ、パッと見ただけで人類ではない何かに近いように見える。
なにゆえこのようなデザインで産み落とされたのか。詳細な公式設定があるのなら公開していただきたいところだが残念ながらないようだ。
このページではこの恐ろしくもどこか憎めないゲイルに注目し、人狼ジャッジメントの歴史とともにその生い立ちを振り返りたいと思う。
ゲイル黎明期~
スマホで気軽にできるということで今まで人狼に触れたことのない新規プレイヤーがどっと押し寄せてきたジャッジメントの世界。当然秩序などあろうはずがない。
時に処刑すべき人間がいなくとも誰か1人は吊るさねばならないのが人狼ゲーム。
白か黒かわからないグレーの中から一人を選ばなければならないという状況、葛藤の末、苦渋の決断で選ばれるというのなら仕方がないというものだろう。
しかし初期の民、まだ文化を形成できていない蛮族達は軽々しく半笑いでこう告げるのだった。
「じゃあゲイルでw」
悲しいことだが過去にあった凄惨な事実としてしっかりと記憶していただきたい。
ゲイルは差別されていたのだ。
「見るだけで笑える」
「ゴブリンが村に混じるな」
「すみませんゲイルアレルギーなんで(退室)」
浴びせられる罵詈雑言。議論が始まるなり「とりあえずゲイルで!」と生ビールのように処刑に推される日々。なんと不条理なことか。
初期の人狼ジャッジメントでゲイルを選ぶことは自殺行為に等しく、特に進行が困難な大人数部屋でのゲイルは困った時には処刑しておくぐらいには命が軽く扱われており最後まで生存している姿を見ることは稀なことだった。アーメン。
ゲイル発展期~
おびただしい数のゲイルの屍が築かれ、プレイヤー達も人狼ジャッジメントに馴れてきたころようやく風向きが変わる。
「もう顔吊りはやめよう」
顔が面白いからという理由で処刑してはいけない。
そんな当たり前の良識が徐々に界隈に浸透してきたのだ。
悪ノリで行われてきた「じゃあゲイルでw」をこれ以上させないため、部屋が始まる前に積極的に「顔吊りは禁止です」と啓発活動をする部屋主なども現れ、ゲームを楽しむ環境として成熟してきたと共にゲイルは人権を獲得した。
人の心理とは面白いものである。
世論が顔吊りをやめようという流れになると、今度はグレー吊りの時ゲイルを選び難い圧力がかかるようになってしまったのだ。
実際「なんとなく」でゲイルを指名すると「顔吊りやめろよ!」と人権派からの叱責が飛んでくることがままあったのだから恐ろしい。
このことで忌むべきものとして扱われてきたゲイルは逆に明確な理由がないと吊り辛い聖域へと昇華した。
ゲイル成熟期~
そんな事情を察した一部プレイヤーは好んでゲイルを使用するようになった。吊りに指名されると自ら「顔吊りかよ、最低だな」と騒ぎ出し、遠まわしに指名を変更するよう要求するなど、過去に虐げられていたことを利用したゲスい立ち回りが見られるようになる。
このままでは再びゲイルの評判が悪くなってしまう。しかも今度は顔だけじゃなく実際に嫌われるようなことしてるのだから言い訳ができないじゃないか・・・。
ゲイル冬の時代はすぐそこまで迫っているかに思えた。
しかしこのころになると他のプレイヤー達も歴戦の猛者らしい胆力が備わっており、「顔吊りだろうがなんだろうが吊るものは吊るんじゃい!」と余裕で貫通されるようになっていた。
哀れにわかゲイル共の目論見は外れ、環境など意に返さない真のゲイル愛好家だけが残ったのだった。
そして現在~
根拠となるデータがあるわけではないが、ゲイル各位は穏やかな日々を過ごされているように思う。
顔吊りは露骨なものはなくなり、定番ネタとして時折挟まれる程度に落ち着いた。
それでいて存在感は全く落ちていないのだから凄い男だ。
ゲイルの役職が『女王』や『巫女』なだけでどこからか笑いが起きる。
いつしか彼はその圧倒的インパクトを含めて皆に愛されていたのかもしれない。
きっとこれからもゲイルは僕たちを夢中にさせてくれるだろう。
追記
人狼ジャッジメントに追加された新たなビジュアルのゲイル。
人外ですねーこれは。間違いない、吊ろう。