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メインフェイズ サイクル2
サイクル2 緒方友蔵 行動:風贄さらさと感情を結ぶ
憎き左近允右賀神を確実に亡き者にするには一人では心もとない。緒方は【使命】が競合していない風贄さらさとの共闘を視野に入れ、友好な関係を築くためにコンタクトをとることにした。
しかし長年国の権力者に虐げられてきて恨みムンムンの『隠忍の血統』に国の犬である『比良坂機関』の人間がどのようにして接触していいのやら。出会った瞬間四肢をもがれてもおかしくなさそうなものだが……。
緒方はあくまでも弁当屋という体でどうにかしようと心に決めた。
清廉な気配が漂う森の中、鳥の囀りやそよ風が樹々を通り過ぎる音が聞こえる。
緒方「これはこれは隠忍の血統のさらささん」
突然現れた緒方友蔵に驚いた様子もなく風贄さらさは応じる。
さらさ「あら、あなたはーー」
緒方「こんな日はお外で弁当屋を食べるのが気持ちいいものですよ」
さらさ「そうですね。確かに美味しそうな気がするわ」
緒方「そうでしょうそうでしょう!ちょうどここに幕の内弁当が2つあるんですが、ご一緒いかがですか?」
さらさ「あら、よろしいですね」
一緒に食事を楽しむ。これは【対人術】の基本である。
同じものを食べ、話が弾めば自然と仲良くなれるというものだ。
緒方「ふふふ、お互い大変ですよねー」
弁当を食べ終えた二人はハイタッチを交わした。
緒方「それではお互い頑張りましょう!」
弁当屋の緒方友蔵と隠忍の血統の風贄さらさ。2人の間に友情が生まれた。
※感情を結ぶとどうなる?
忍者は感情を結ぶんだ相手とテレパシーで情報を共有するようになる。これは友情などのプラスの感情でなく怒りのようなマイナスの感情でも発動する。共有は感情を結んだ以降に新たに得た情報のみされる。
サイクル2 うがじん 行動:風贄さらさと感情を結ぶ
大きな風が吹き荒ぶ。風贄さらさの髪の毛や衣服が大きく揺れる。何かが起こりそうな予感がする……。
うがじん「さらささん、凄い風に打たれてるなあ。一体何をしてるんだろう」
そんなシーンをうがじんは【千里眼】で全然違う場所から覗いていた。
うがじん「それにしても……さらささん綺麗だなぁ」
見れば見るほどうがじんの心に劣等感が生まれる。
うがじん「オラとは大違い!同じ隠忍の血統なのに!!」
考えてみれば迫害を受けている隠忍の血統の中でさらに村八分にあっている可哀想な男である。生い立ちからして自信を持つのは難しいのかもしれない。
一方風贄さらさは急にゾワリと謎の悪寒を感じとった。
周囲には何もない。振り返り千里眼を使い目を凝らしてみると、はるか彼方にうっすらと豆粒のようなうがじんの姿が見えた。
さらさ「私に気付かれずにあんな遠いところか千里眼で見てくるだなんて……」
私にはできない。風贄さらさも劣等感を持ってしまった。
お互いに劣等感を抱え、2人はテレパシーで情報の共有が可能になった。
サイクル2 風贄さらさ 行動:出雲ゆかりと感情を結ぶ
世界の終わりのような暗黒。暗闇の中、風贄さらさは出雲ゆかりの背後からそっと近づいた。
さらさ「出雲ゆかりさん?」
出雲「うわ、めっちゃビックリした!……そうですけど。あなたは確かーー隠忍の血統のさらささん?だっけ」
さらさ「うん、そうですよ」
出雲「あら、こんばんは」
突然何のようかと身構える出雲ゆかりに、風贄さらさは懐からお菓子を取り出して差し出した。
さらさ「これいかが?」
出雲「!? うわめっちゃ美味しそうなお菓子!これいいの?」
風贄さらさが頷くと出雲ゆかりはペロりと食べてしまった。
出雲「え、このクッキー凄い。めっちゃ美味しい!さらささん器用なんですね」
さらさ「いえいえ、食べてくれてありがとう。ふふふふ」
実はこのクッキーは食べさせた相手との間に友情を感じさせる【毒術】で作られたものである。
出雲「いやーめっちゃ美人だし羨ましいなぁ。私もそんな風になりたーい。ふふふふ」
2人は女子会を通じて友情を結んだ。
サイクル2 パペ○トマペ○ト 行動:風贄さらさの【秘密】を探る
風贄さらさと出雲ゆかりの暗黒女子会が終わってすぐのこと、成行を見ていたパペ○トマペ○トは動き出した。
パペ○トマペ○ト「ショートコント!飛行機!」
風贄さらさ「!?」
うしくん「うーんうーん」
かえるくん「あれ、うしくん?お客様どうなされました?」
うしくん「突然お腹が苦しくなって」
かえるくん「大丈夫ですか? すみません、どなたかお客様の中にコックさんはいらっしゃいませんか?」
うしくん「気が早い!」
パペ○トマペ○ト「以上です。🐮パペ○トマペ○ト🐸」
風贄さらさ、まさかのバカウケ。
うしくん「それでは喋ってもらいましょう」
【腹話術】に合わせて秘密を喋ってしまうさらさ。
パペ○トマペ○ト「なるほど、あなたも大変な【使命】を持っているんですね。かえるくんうしくん一同、応援していますよ」
風贄さらさ「ありがとう」
パペ○トマペ○ト「では!」
パペ○トマペ○トは風贄さらさの【秘密】を入手した。
サイクル2 出雲ゆかり 行動:緒方友蔵の秘密を探る
町で弁当配達をしている緒方友蔵がスっ転ぶのを目撃してしまった出雲ゆかり。
緒方「アッ!」
出雲「あら友蔵さん、凄いひっくり返しっぷりだわ!」
緒方「ふん。まあ、こういうこともありますね。猿も木から落ちるって言うでしょ?」
出雲「なるほどね。この間私のことをペラペラ喋っちゃったからあなたのことを探りにきたんだけど、それどころじゃないみたいね」
と言いながら出雲ゆかりはこけて擦りむいた緒方の膝を【医術】で優しく治療した。
人に優しくされることに馴れていなかったのだろう。
それだけで緒方は喋ってしまった!【秘密】を!自分の急所を!
出雲ゆかりはうがじんと互いに崇拝し合い、風贄さらさとの間には友情がある。緒方友蔵の【秘密】はテレパシーを通じて瞬く間に2人にも共有されてしまった。もう知らないのはパペ○トマペ○トだけである。
出雲ゆかりの本当の【使命】はうがじんを幸せにすること。うがじんを憎んでいる緒方友蔵は明確に敵と認識されただろう。風贄さらさはすでに2人の【秘密】を握っており情報戦でリードをとられている。鍵である時姫はうがじんの手元にあり、戦闘を仕掛けようにもその行方は分からない。
どう考えても緒方友蔵圧倒的不利である。
緒方「やってくれるぜ……」
緒方はこの状況を挽回できるのだろうか?
その④に続く