男親にとって娘とは格別に可愛いもの。
娘に彼氏ができたら世のお父さん方は卒倒すると言われています。ましてやそれが暴力を振るうクズ男だったらもう気が気ではないしょう。
この『マイホームヒーロー』は、父親が娘を守るために彼氏を殺すところから始まる話です。
と書くと父親がやっべーやつだと思われるでしょうが普通のサラリーマンです。そんな善良なおっさんが殺人という手段をとらざる負えなかった。つまり娘の彼氏がブッ飛んだやべーやつなわけです。
そんな彼氏の死を中心に物語は進みます。
殺人の証拠を消し去り平和な日常を取り戻したい主人公家族。
行方が分からなくなった構成員(=彼氏)を探すため調査を始める半グレ集団。
毎度ニアミスどころか衝突しているような状態でなんとか持ち直すギリギリな展開の連続が見どころですね。主人公のおっさんは酷い目にあわされ続けます。組織として動いている半グレ集団の恐ろしさ、理不尽さを一般市民目線で嫌と言うほど味わえるでしょう。
遺体処理が詳しく描写されているのも知識欲が刺激されていいですね。人間を一人消すのがいかに面倒かが分かる。本来こういった証拠の類を隠す際は警察が最大の敵になるわけですが、この話は半グレが法をガン無視で調べ上げてくるわけで・・・そんなところも緊張感があって楽しめる。
さらに、この上質なサスペンスはドラマチックでもあり、主人公だけでなく敵組織構成員にも家族としての在り方が見てとれます。それぞれが感情に乗って必死に動いているのでキャラがしっかり立ってるんですよね。共感はできずとも理解はできる。その塩梅がいい。
主人公と同年代だけでなく、その子ども世代が触れても感じるものがあるはずなので是非とも読んでもらいたい。そんなおっさんの話です。
※作画は『サイコメトラーEIJI』や『クニミツの政』の朝基まさしさん。
この方でサスペンスとなると個人的にトラウマレベルのものが想起されますが、今のところ(第一部終了まで)は面白いから心配しないでほしい。