前回までのあらすじ
斜歯忍軍、鞍馬神流、比良坂機関、三つの流派が合同で研究していた呪術兵器『時姫』が左近允右賀神の手により連れ去らわれた。
時姫の奪還を命じられた、緒方友蔵、出雲ゆかり、パペ○トマペ○トと野次馬の風贄さらさ。嘘と真実、殺意と愛情が入り乱れた戦いが今始まろうとしていた。
メインフェイズ サイクル1
その前に、共通の導入で現在の左近允右賀神(以下うがじん)の居場所を探るチャンスを与えられた。成功して居場所が分かれば攻撃を仕掛けることができるようになる。【使命】のことを考えればぜひとも知っておきたところだ。
成否の判定は【調査術】で行われた。情報戦にて最強の『比良坂機関』所属の緒方としてはここは遅れをとるわけにはいかないーー のだが、まさかの失敗!
他は全員成功したのでいきなりデカいハンデを背負ってしまうことになった。
さて、ここからは各忍者1サイクルに1回それぞれ行動を起こすことができる。できることは【居場所】、【秘密】を探る。感情を結ぶ。戦闘を仕掛けるなどだ。
サイクル1 うがじん 行動:時姫との感情を結ぶ
強い雨が降り出し、人々は軒を求めて大慌てで駆けだしていく。
星の見えなくなった空の下、うがじんは脚を止め時姫を見つめる。
「時姫ちゃん、オラ君のことが好きだ!」
雨が降る中、お姫様抱っこで腕の中にいる時姫は無表情だった。そんなこと言われましても・・・とでも言いたそうに見える。
「オラ、こんなに君を持ってても大丈夫なんだ!ほら、こんなに上に掲げても大丈夫だよ!しかも君でオラは、雨避けもできるしね」
うがじんは軽々と時姫を持ち上げる【怪力】をアピールして時姫との間に感情を結ぼうという常人にはちょっと理解できない思考をしていた。
その行為は不思議なことに成功し、うがじんは時姫に共感したのだが、時姫は逆に不信感を持ってしまった。まあ傘替わりにされたのだから当然だろう。
そんな時姫の態度に、この子好きって言ってるのになんで喜ばない!?と、うがじんがキレ出してこちらも共感→不信を持つことに。
コミュニケーション能力の低い2人は険悪なムードになった。
サイクル1 風贄さらさ 行動:うがじんの秘密を探る
うがじんと時姫が互いを不信がっている様子を風贄さらさは影から見ていた。
うがじん「ほら時姫ちゃん。君が傘になってくれたおかげで全然濡れないよ」
さらさ「・・・あなた女の子で何やってるのよ」
うがじん「あ、さらささん。今オラの怪力っぷりと雨避けの一石二鳥の見事な頭脳プレイを時姫ちゃんに見せつけてるんだ!」
「最低ね」と呟くように言いながら、風贄さらさは【毒術】を用いうがじんに自白させるよう仕向ける。
うがじん「なんでだ?おかしなことを言う人だな」
さらさ「ふふふ、うがじん濡れちゃうわよ。こっちで話でもしましょ」
ーーーーしばらくして。
うがじん「なんか、なんでも話してしまっただ」
気付けば風贄さらさはこの場から消えていた。
うがじん「あれ、さらささん? ほんとおかしな人だなもう」
風贄さらさはうがじんの【秘密】を入手した。
サイクル1 緒方友蔵 行動:出雲ゆかりの【秘密】を探る
右賀神の足取りを追っていた緒方は調査の最中出雲ゆかりと遭遇した。
緒方「これはこれは、鞍馬の出雲さんじゃないですか」
出雲「あら、あなたは確かーーゆうぞうだっけ?ともぞうだっけ?忘れちゃったけど」
緒方「弁当屋の友蔵ですよ。まあお近づきの印にから揚げ弁当でもどうぞ。余りもので申し訳ないですが」
出雲「えっ、私揚げ物はちょっと」
緒方「残念ですね。ところでこんなところで何を? そういえば最近界隈で噂になってますね。なにやら呪術兵器がいなくなったとか」
出雲「あーそうみたいね。私も上から命を受けて追ってる最中なんだけど」
緒方「正直ですね」
出雲「あなたもそうなの?」
緒方「さあどうでしょうね? お弁当屋なんでね私は」
一見ただの小話をしているようだがこれは緒方の【対人術】の内である。謀術のエキスパート緒方は会話を誘導し聞きたい情報を上手く引き出すことができるのだ。気付けば出雲は隠していた【秘密】を洗いざらい喋ってしまっていた。
出雲ゆかりの秘密
緒方「ーーなるほど、あなたも大変ですね」
出雲「まあね!あ、これ秘密だから内緒にしててね」
緒方「安心してください墓まで持っていきますよ。それじゃあ私はこれで」
場合によっては出雲ゆかりは敵になる。左近允右賀神を殺すためにはこちらも共闘体制を作っておいた方がいいかもしれないな。
シリアスな顔で緒方友蔵は弁当の配達に向かった。
サイクル1 出雲ゆかり 行動:うがじんと感情を結ぶ
街中のおしゃれなカフェの中、出雲ゆかりは「ズズズズッ」と音を立てて紅茶を啜るうがじんを発見した。
出雲「あら、久しぶりね」
うがじん「ゆがりさん・・・どうしたんですか?」
出雲「相変わらず緑ねあなた」
うがじん「もう、そのことはチョメチョメ!言ったらダメでしょ!」
出雲「私達昔は任務を一緒にした中だけどーーそういえばなんか時姫連れ去ったらしいけどなんてことしてくれてんの?」
うがじん「いや、時姫ちゃんはオラの伴侶になる子だから。今もこうして一緒に紅茶を飲んでるんだ。ズズズズッ」
出雲「いや時姫あんまり嬉しそうじゃないし」
うがじん「そうなんだよ・・・」
出雲「あんたうちらの世界で凄い事になってるわよ今」
うがじん「えっ、そんな。オラがそんなにモテてただなんて!」
影の世界のことを忘れてしまいそうな優しい時間が過ぎていたが、【香術】の心得がある出雲ゆかりは何やら異臭がするのに気付いた。
出雲「ちょっとうがじん、あんた臭いわよ」
うがじん「え、そんなこと。オラ全然フレグランスな香りだけどな」
出雲「いや臭いわよ!」
でもーーこんなに臭くなるまで必死に時姫を抱えて走ってきたなんて・・・凄い人!
気付けば出雲ゆかりにはうがじんへの忠誠の気持ちが芽生えていた。
一方うがじんも、臭いって教えてくれるなんてこの人いい人だなぁと忠誠を誓っていた。
うがじん「ゆかりさんの言うことには全部従うよ!」
出雲ゆかり「あはは、いやあなた凄いわ。そんなに(臭く)なるまで時姫を抱えれるなんて素晴らしいと思うわ。そんな見た目だけど」
こうして、うがじんと出雲ゆかりの間には忠誠の感情が結ばれた。
サイクル1 パペ○トマペ○ト 行動:緒方友蔵の秘密を探る
パペ○トマペ○トは路上ライブをしていた。
かえるくん「うしくんうしくん、僕たち10年前はなんでウケてたんだろうね」
うしくん「かえるくん、僕にもそれは分からないよ。子どもにウケることをやらなきゃいけないよね」
通りかかった緒方友蔵はつい足を止めてしまう。
緒方「なにやら面白そうなことをやっているな」
実はこれはライブに夢中になっている人間が気付けばうしくんかえるくんの口に合わせて秘密を喋ってしまうという恐ろしい【腹話術】である。
しかし悲しいことに今回のネタはだだスベりだった。
緒方「・・・まあ、こういう芸人が将来大成するかもしれないしな」
ネタを見終わると緒方は小銭を取り出しピンッと親指で弾いた。それをうしくんがキャッチし、かえるくんがお辞儀をして立ち去るのを見送る。
かえるくん「売れない芸人は辛いね」
🐮パペ○トマペ○ト🐸
その③に続く