※注意※
この小話はshinae様作ロッカー《クトゥルフTRPG用シナリオ》のリプレイにもなってない再現コメディーです。目星すら知らない脳筋初心者達がいかに理不尽でバイオレンスだったかをNPC視点でお届けします。ネタバレはモリモリと含まれておりますのでご注意ください。
シナリオはこちらからお借りしました。ありがとうございます。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5774471
気が付いたら真っ白な部屋の中にいた野見山先生!
おかしいな僕は学校に向かうバスに乗っていたのにどうしてこんなところに。だめだ、なにも思い出せない、とりあえず学校に遅刻するかもって電話を入れなきゃ。
プルルー、ガチャ
「あなたはここからでられませええええええんあっははははははhhhhhhh」
ブツリ、ツーツー
え、なにこれ怖い。うわぁスマホめっちゃ文字化けしてるし腕時計の針が高速回転している。どうしよう!
「やあ、こんにちは」
なんかいっぱい来た!
「僕たちは突然こんなところに来てしまった見知らぬ間柄ながらすぐに親密な関係を築いた4人組だよ。君のことは悪いやつだと疑ってるしそうでなくても利用しようと考えてるからよろしく!さっそく知ってることを教えて!」
「僕は子供が好きだから小学校の先生になった野見山、よろしくね!知ってることかー、そうだなぁ向こうの壁にロッカーがあるよ!」
「え、それだけですか。見れば分かることをわざわざありがとう!さっそく調べにいくよ」
キックします!
蹴り壊すか。
うわぁ女の子とアロハが鍵がかかっていることに怒ってロッカーを蹴り始めた。まだ全然調べてないところがあるのになんて短気で野蛮な連中なんだ。
ほら大きいロッカーがあっさり開いた。物事には順序ってものがあるんだって。えっ、今度はアロハの人沸騰した液体が入ってる土鍋を素手で掴みにいったよ。案の定やけどしてるけど大丈夫この人?横の方にミトンがあるのに使い方がわからなかったのかなぁ。
「おい野見山さんよ……この鍋ちょっと握ってくれんかな?」
「い、嫌だよ。なんでだよ」
意味が分からない。それをさせる意味が!
こいつら相当やばい連中みたいだ。警戒しておかなきゃダメだけど、やぶれた絵本の続きが気になるって?仕方ないなぁ。小学校教師のぼくが続きを教えてあげよう。
「〜こんなことでハゲワシの餌食になるなんてバカバカしい。譲り合って仲良く水を飲めばいいんだ。二匹はやっとそのことに気づき、仲直りしました。めでたしめでたし」
一人だけ助かろうとせずに協力した方がいいっていうお話だね。
「なるほど、つまりこの中にハゲワシがいる可能性があると」
えっ、そういう解釈しちゃう!?しかもなんで僕を見るの!!?
どうも本当に身の危険を感じ始めてきたぞ。
なんだかライダースーツの男に顔色を窺われているような気がするしそれも気分が悪い。
今度はプードルのぬいぐるみを触ったらなんか温くて気持ち悪いとか騒いでいる。うへぇ無駄にリアルな作りだし確かにちょっと嫌だ。
「先生、ちょっとこのぬいぐるみ触ってくれませんか?」
「嫌だよ生温いんでしょ!?」
「大丈夫、できる!」
「いやできるとかじゃなくてさぁ」
やる意味よそれを!僕はアロハのことを今後信用しないことに決めた。
その後もなにかにつけて酷い目にあわされそうになった。土鍋の中身を頭からかけられそうになったり、良い子だと思ってた学生服の子に睡眠薬を注射されそうになったり。抵抗すると「先生なんの役にも立ってませんよね」と罵られるし。僕は泣いた。
やばいやばい、いよいよやばい。ロッカーの仕組みがだいたいわかったよ。ずばり書かれた数字と同じ温度のモノを中に入れたら次が解錠されるって寸法だ。いや何がやばいってね、最後のロッカー“36”って書いてある。これたぶん人間の体温だよね?間違いなく僕が中に入れられるやつだよね!?
ロッカーを開けると中には鎖に繋がれたミイラが入っていた。
ほれ見たことかああああ!!
絶対成れの果てだよこれ!!いやだあああ干からびたくない!!
「なあみんなお願いだから!お願いだからいっしょにアロハをロッカーに詰めよう!!」
アロハが「もう殺す」みたいな顔してこっちに来てるけど、知らんそんなの!このままだとどうせ死ぬんだこっちも必死になるよ。
「頼むよあいつ危険すぎるって。君たちも襲われるかもしれないし、今のうちになんとかした方がいいよ!」
言って見るもんだなぁ。学生服の子は僕についてくれたし他の2人も様子見してくれるみたいだ。実質2対1で悪いけどアロハにはロッカーに入ってもらいますかぁ。
うん、でも無理みたい。
アロハに蹴られたよ……虫の息です。
「さあ先生をロッカーに入れようや」
甘く見てたよ。戦闘力が違い過ぎて2人がかりでも軽く捻られるねこれ。もう僕には命乞いぐらいしかできることがない。
「待って協力しよう。絵本の内容思い出して、、仲良くしなきゃ」
「それならみんなのためを思って先生がロッカーに入ってくれてもええんちゃうの?」
口ばっかりだなおめえは!と無茶苦茶を言う。ダメだ話が通じない・・・
容赦なく2発目の蹴りが見舞われた。
「死んで冷たくなられたら36度じゃなくなるからなぁ」
気絶からなんとか回復したらこのセリフ。いやギリギリ生きてたけど一歩間違えたら死んでたよたぶん?ピクピクしてた実感あるから。学生服の子が手当てしてくれなかったらそのままお陀仏だったよきっと。
――まあ結局ダメっぽいけどね。
3度目のキックでブッ飛ばされながら、さすがにそう思った。転んだ拍子に昨日徹夜で作った“九九”の教材が散らばる。ああ、頑張って作ったのにもう授業で使えないなぁ。女の子がそれを拾って何かを言ってるけど、もうよく聞こえないや・・・。
ハッピーエンド?
気が付くと僕はバスの中にいた。
時計をみると時間は5分ほどしか経っていない。
「せんせーおはよー」
「おはよう、今日の算数は九九だよ。一緒に頑張ろうね」
学校へ行く途中、元気な声の生徒からの挨拶でいつも通りの日常を実感する。
あれは全部夢だったのかなぁ。
ふと前を見ると、アロハシャツを着た男が歩いている。
「いや別に先生を詰めたところで俺らは生きれたわけでしょ?まずは自分達が生存することが大事!仕方ない仕方ない」
僕はその声を聞いて、底知れぬ恐怖に包まれた。
まとめ KPより
みんな、NPCは大事にしましょう! おわり